心の本業とは何か?
心(魂)の本業とはいったい何だろうか?
本業と副業とは一般的には、収入の多いものが本業、収入の少ないものが副業というように理解されている。また、事業においては、やはり、事業収入の多いものが主力事業、事業収入の少ないものがその他の事業と理解されている。その価値基準は経済指標である。
しかしながら、人生の従属者ではなく、人生のリーダーとしての生き方を選ぶのであれば、価値の基準が変わってくる。心の本業、魂の本業とは何かということが重要になる。そのことが、人生において必須の業となる。この世で与えられた使命に目覚め、その役割を演じることができるものが、心の本業、魂の本業となる。何十年も人間をやり、多くの体験を積み、意識的に自分自身との対話や他人との対話を積み重ねてきたならば、使命や天命となる心の本業、魂の本業と出会うことになる。そのことを実践し続けることは、自分の本当の人生を生きることにつながる。自分の魂を輝かせ、存在証明することにつながる。生涯にわたり、ぶれない人生軸をもって生きることができる。収入の高低や有無の問題ではない。
そして、組織、企業においては、社会的に果たすべき『特有の使命』が明確にあるならば、それに最も即したものが、心(魂)の主力事業となると思う。心(魂)の主力事業なしに、組織は存在しえない。その組織、企業の存在意義を為し、存在証明するものである。特有の使命に最も通じており、その事業を行うことによって、最も社会に貢献できる事業のことだ。生命線となる事業のことだ。事業収入の高低の問題ではない。
もちろん、収入は、個人にとって生活上重要な糧である。また、企業、組織にとっては、経営、運営を支える基盤となるものであり、そこで働く者たちを支える重要なものである。そのことを否定するものではない。心(魂)の本業、主力事業が、経済指標においても、そのまま主たる生計の糧、主たる事業収入になる場合もあれば、そうでないこともある。重要なのは、経済指標における大小、有無に関わらず心(魂)の本業、心(魂)の主力事業が明確に意識されていることである。
パラダイムシフトが起こり、心の時代に入った。経済指標における本業、副業のパラダイムではなく、新しいパラダイム、すなわち、一人ひとりの人間が大切にしている心の価値観に即した取組みをしていくこと、心の糧、魂の糧となる本業を通して、日々の自己実現や幸せを得ることは、人類全体にとっても重要なテーマになってきているのではないだろうか。もはや人生の従属者として人生を過ごす生き方は終焉を迎えようとしている。組織、企業においても、本質的には同じことが言えよう。特有の使命が単なるお飾りとなっていて、事業収入、収益があがる事業は何でもやる。逆にあがらない事業は一切やらないということでは存在意義は失われる。
人類の存続を危うくするような問題が地球規模で山積してきている。人類の文明化の過程は、科学技術を中心としたものだった。そして、心(魂)の成長は疎かにしてきた。そのことが、そのような状況を招いた大きな要因となっている。生活の手段としての本業から、心(魂)の糧としての本業を重視する生き方へと価値観がシフトしていくことによって、心(魂)の成長へとつながり、地球の未来が、人類の未来がポジティブなものへ変わっていくと確信する。